SPACE METAL
はじめに
タングステンに注目が集まった背景には釣り場の自然環境を守りたいというアングラーの「想い」があった
ルアーフィッシング人口が600万人と言われている現在、釣り人がフィールドに放出する「鉛」の総量が大変問題となっています。 ブラックバスはストラクチャー・フィッシュとも呼ばれるように、障害物のあるところに生息する魚。そのため、アングラーは障害物を頼りにバスを探し、そこを重点的に探る釣りをします。
そのため、鉛のシンカーを含むリグ(仕掛け)がたびたびその障害物に引っかかり、回収不能となってそのまま湖底に残ることになってしまいます。以前に出した試算では、リリース禁止条例施行前の週末や祭日の琵琶湖には、1日約1万人以上の釣り人が各地から訪れていました。アングラーひとりあたり、平均5gのシンカーを5個以上使用すれば、一日およそ250kgの鉛が湖底に堆積していきます。これが年間になると50t前後にもなり、今琵琶湖に沈んでいる鉛の総量を考えると信じがたい量になってしまいます。さらにバスフィッシング以外の釣りでも鉛のオモリが使われるので、その量を加えるとさらに膨大な量であることはお分かりいただけるでしょう。
これまでの考え方として、シンカーは加工がしやすくしかも切れてなくなりやすいという用途の性格から、加工がしやすくしかもコストの安い鉛が古くから使用されてきました。しかしながら鉛の潜在水溶毒性は大変高く、バスフィッシングの本場であるアメリカにおいては、どのように対処するか問題として議論されています。もちろん日本においても同様で、例えば我々関西の水瓶である琵琶湖でも、魚や鳥の食物連鎖を通じて動物の体内に蓄積し環境面でも問題があるといわれ、飲み水として使用している琵琶湖の将来を、深刻視すべき問題であると考えられています。また、釣具メーカーの団体である社団法人日本釣用品工業会では、鉛問題に関する部会が開かれ、その害を考え、未来につながる釣りの在り方が議論されています。
そのことを一番危惧していたのは、フィールドで釣りをしているアングラーでした。いつまでも釣りを楽しみたい、きれいなフィールドで釣りたいという想いは、アングラー共通の考え方。タングステンは登場当初、機能ばかりに注目が集まっていましたが、その反面、環境に害を与えないという特性に着目した多くの自然環境を愛するアングラーは、当時はかなり高価だったタングステン素材のシンカーを選択していました。そしてタングステンシンカーをもっと身近にして、常に使えるアイテムになればと考えていたようです。
ゲインコーポレーションでは、鉛に代わる素材として、充分な機能を持ち、なおかつ環境に対する優しい素材とうことで「タングステン」を使った商品の開発に全力を注ぐことで、これらの自然環境を守りたいというアングラーの声に応えようと、製品化を進めてまいりました。そして生まれたのが「スペースメタル」なのです。
「エコスピリット」を持つアングラーを満足させる素材「スペースメタル」
低コストでかつ高機能な身近なタングステン素材がスペースメタル
すでにタングステンを素材にしたシンカーが各社から発売されていますが、レアメタルと呼ばれていることからも分かるとおり、素材自体が大変高価。近年になりようやく価格が下降傾向になってきましたが、鉛に比べてまだ高価であることは否めません。ですから一般のアングラーが、環境に優しいと知りながらもやはり低価格である鉛を使用するのはやむを得ないところでしょう。そこで求められるのは、鉛を遙かにしのぐ機能を持ち、バスフィッシングをさらに有利に展開できる性能のシンカーと、アングラーが納得できる精度を持つ加工技術の開発と、鉛の代替品に十分になり得る価格設定がキーポイントであるといえます。
そこでゲインコーポレーションでは、鉛以上の機能を持ちながら、精度の高い加工が可能でしかも生産コストを下げるために、低公害な素材である低公害なポリアミド樹脂とミックスした素材「スペースメタル」の開発に成功しました。さらに独自の射出成形技術を編みだし、より精度の高い製品の実現と生産コストの削減による低価格設定を可能にしました。
フックやアームなどステンレスや鉄との一体成型が可能
「スペースメタル」はタングステンとポリアミド樹脂の合成素材。焼結タイプのタングステン合金と違い、200℃前後の低温で加工が可能です。そのためフックやスピナーベイトのアームなどのステンレスや鉄と一体成型ができるようになりました。だから鉛と同様にスキ間のないジグヘッドや、ラインをそのまま通しても傷が付かない滑らかな表面のテキサスリグシンカーなど、アングラーが納得できる品質の製品を作ることが可能なのです。また低温加工ができるということは、製造時に必要な消費エネルギーを大幅に削減でき、省エネによるコストダウンと社会貢献の両方を実現しています。
エコスピンの断面図。焼結加工では不可能なステンレス素材と一体成型ができ、しかも細かい高精度成型が可能なのも、スペースメタルの特徴です。
研究開発の成果と実績が認められ滋賀県などから表彰を受ける
環境に害を与えないレアメタルとして知られるタングステンの機能を活用したスペースメタル。弊社はこれらのコンセプトと技術力により、滋賀県・日経新聞主催の「エコライフ琵琶湖賞優秀賞」、社団法人関西ニュービジネス協議会の「NBK大賞・環境アメニティ部門賞」を受賞しています。高比重で高感度、そして社会に認められたマインドとテクノロジーが融合した素材なのです。
終わりに
あなたも「エコスピリット」を持つアングラーに!
水に溶けたり、体に入って害を与えにくい金属であるタングステンを採用したスペースメタル。密度が濃く、表面が堅いことから、ボトムマテリアルが手に取るように分かる高感度を実現しています。また、高比重なので小さなフォルムでも飛距離を稼いだり、より素早く沈めることが可能です。バスフィッシングにおける重要な機能面も進化したスペースメタルを採用するZAPPUブランドのアイテムで、エコスピリットを持つアングラーとして、釣りを楽しんでください。